永平寺の精進料理 七六〇年受け継がれた健康の智慧を家庭でいただく
つくってみたい精進料理がいっぱい
精進料理というと、なんだか地味で欲の薄い料理だと思っていましたが
この本をみると、その美しさとおいしそうな様子、そして丁寧さに
「つくってみたい」魂を刺激されます。
やっぱり一流のお寺では、美味しいものを食べているんだなあ。
食をおろそかにせず、細部まで神経をゆきとどかせたり
華美でなくてもうつくしい食器を使ったりして
生活のひとつひとつを大切に生きるほうが
よほど禁欲的なのかもしれません。
座る・・座る・・味で感じる・・仏の心
縁あって永平寺別院に10年以上通う機会があり、一時期、著者の料理をいただいたことがあります。
偉いお坊さんが「こんどの典座の料理はとてもおいしい」とぼそっと言われました。
それでじっさい料理を頂くとき、はじめ「そうかな?」と思いました。目の前の飯物などは味付けが薄口で湯気だけが上って来るかのような気がしたのです。しかしそれはすぐに誤解とわかりました。
その中からだんだんと味が出てきて、噛むほどに噛み心地を感じたり、演出しようとしているかのような意図のある香りや味わいを感じたのです。そして(おかずの追加である)別菜はむしろしっかりした味付けで、結果的にどの料理もメリハリの利いた、とてもおいしい味だったと記憶してます。
はじめに口にするものは薄い味で、後に口にするものは比較的濃い味に演出されたのでしょうか。食べ終わってみると、たいへん幸福感につつまれたのを憶えています。
味付けは「濃い味は付けやすいが薄味は付けづらい」と以前どこかで聴いたことがあります。はっきりとしっかりした意図をもって薄い味に「演出」したりするのは、基本だけ知っていてもできない、むしろ伝えようとする「心」の領域かもしれません。
(本来、禅宗の教義では、味が美味いとか不味いとかを、考えたり口にするべきではないのですが、著者の料理が質の高いものでしたので一言書かせていただきました)
禅の心を知り・禅を味わう精進料理の数々
著者の作った料理を、著者の話を聴きながら食べたことがある。「精進料理を食べているくせにずいぶん太っているな、とお思いになったでしょう。本山で修行すると10キロぐらいやせるんですが、自分の寺に戻ると、リバウンドでまた太るんですよ。根っから食べることが好きなんですね」と笑わせながら、精進料理をネタにした説法を始めるお坊さんである。料理はおいしく、話すのもうまい。「宣伝するわけじゃないですが、こういう本も出ています」という一言につられて、ついつい買ってしまった。
精進料理の思想とレシピが程良く融合しているが、あまり説教くさくないので、読みやすいとは思うが、永平寺や禅がどうのこうのというごたくを読みたくない人にとってこの値段は高いかもしれない。
少しでも、禅の教えに興味があって、健康的な粗食をぜいたくに食べてみたいという指向の方には絶対お勧め。
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